2008 06/15 カテゴリー : 岩木山コラム

津軽岩木スカイラインは、6月6日から夜間も営業を始める。8合目までのシャトルバス運行、自家用車が登れるように費用面なども考えている。

弘前駅からの白神ビジターセンターを回り、夕陽を楽しんだ後に食事ができるツアーもできた。天候が相手のツアーは、危険度が高い商品である。ツアー
として企画し、料金を取る以上は客に対しての保障が必要だ。悪天候で夕陽が見ることができないと判断した時点でキャンセルするか、代替の企画を用意するこ
とになる。

鯵ヶ沢町は、海に沈む夕日を大きく売り出したことがあるという。この企画に対して旅行代理業者が要求したのは、悪天候の場合の代替企画だった。結果、大きく扱っていた日本海の夕日は、小さく扱われることになった。

鯵ヶ沢海岸の傍に建つホテルでお茶を飲んでいて、夕方近くなった海を見ていてなにげなく店員に「ここの夕日は綺麗でしょうね」と聞いた。店員は嬉しそうな笑顔
を見せながら、この日の日没時間、どのように色の変化が楽しめるかなどを話してくれた。「じゃ、沈む時にはじゅっと音も聞こえるの?」楽しいひと時だっ
た。

ツアーに参加するときは、寛容の精神を持って参加したいとも思った。

岩木山の夕陽は、白神山地や北海道のシルエットを見渡せ、日本海に沈むまでの茜色の空を楽しめる企画だ。

好天を神頼みする必要はあるだろうか。

06/01

2008 06/01 カテゴリー : 岩木山コラム

ミズバショウ、桜、りんご、芝桜、菜の花、そして山ではミチノクコザクラを始めとした山野草が咲く。

今年は、弘前城の桜は、例年より9日も早く咲き、岩木山のさくら並木にいたっては2週間も早く咲いた。人間が勝手に予定を立てる事に、自然界が嘲笑
するかのように予定を狂わす。桜が駄目ならりんごの花をと、ミツバチならぬ『ミツニンゲン』の群は花の蜜を求めてりんご公園に殺到する。折しもこの人出を
見込んでの計画か、市長が公園の中で市民にリップサービスをしているのが見られた。

「花見」とは奈良時代の貴族の行事が起源といわれている。奈良時代は中国から伝来した梅が鑑賞されていたが、平安時代になって桜と変わった。『日本後紀』
によると、嵯峨天皇が「花宴の説」を催したのが花見の宴の始まりとか。源氏物語の「花宴」に描かれる花とは「桜」であるが、「藤」を鑑賞していたことの記
述もある。宮中では定例行事として楽しんだ。

江戸時代になって徳川吉宗が江戸の各所に桜を植えさせたところで、やっと庶民のものとなる。
落語でも『長屋の花見』『あたま山』など庶民の楽しみとなったわけである。

花見といえば酒、弘前を中心として「ハナオモイ」という新種の酵母菌で仕込んだ日本酒が花の季節に向けて出来上がった。数種ある酒を何種か試したが、ふんわりした味わいとかすかな花の匂いを感じた。どちらかというと女性向けの酒であろうか。

古来、桜は人を狂わせる、実際花見の席ではしばしば乱痴気騒ぎが繰り広げられる。宮中では歌を詠み、酒はたしなむ程度であろう。だが、庶民はこの一時だけでもつらい生活から解放されたいと深酒をするのだ。だからこそ、花が散り、宴が終わった物悲しさを描いた歌が多い。

日本中の花見の多くはソメイヨシノを対象としている。しかし、全国のほとんどのソメイヨシノが寿命を迎えているという。このため、現在多くの公園な
どで桜の植え替えが行なわれている。吉野桜や河津桜など色々な種類の桜を混ぜて植えることで、延命策を諮っているともいわれる。これでまた、花見の時期が
今までと異なることになるだろう。

岩木山の桜並木はオオヤマザクラだが、雪害で枯れてしまった木も少なくない。
6,500本と言われる桜並木は、旧岩木町町民を主に一般公募で植えたものだ。家族で揃って出掛け、植樹してネームプレートを下げてもらう。毎年、自分の
植えた桜の成長を見に行けることは、すばらしい企画だ。しかし、桜は非常にデリケートで、植えた若い木が風雪に耐えるのは大変なことだろう。観る側にいる
だけでなく、世話をする側にも立つことが必要であろう。

2008 05/01 カテゴリー : 岩木山コラム

岩木山にもやっと春の風が吹き始めた。

ここ岩木山観光協会は、毎日、毎日が季節と向き合う仕事だ。気象学を勉強したいと思ったことがあるくらいに、桜、水芭蕉、りんごの花などの開花予想
を観光客から要望される。開花予想は多少ずれた予想をしてもゴメンで済むが、登山用の天気予報となると生死に関わるので慎重になる。もちろん、日赤岩木山
パトロール隊の情報を基本として、公的な天気予報をたえずチェックしている。

登山者やトレッキングで岩木山に訪れる人は年々数を増している。特にトレッキングの人達は、山麓を中心に遊歩道から登山道路をかすめてオリジナルの
コースを歩く。トレッキングのトレックとは南アフリカの牛車旅行のことで、ゆっくり旅行することの意。のんびりと景色を楽しみながら、ゆったりした時間を
過ごすことがトレッキングだ。

冷たい雨が降っているにもかかわらず、ガツガツと山に入る人もいるので装備が完全か心配になる。おまけに、珍しい山野草を見つけると根元から取って持ち帰る人がいるのが悲しい。

安全に山の自然を楽しんでもらうことが当然のことだが、極端にいうと「自然」とは人間が関わらない状態だ。世界遺産・白神山地も危機に瀕していると
いう。ガイドしている範囲を超えて森の中に入ったり、受け入れ側が『見せる』ために施設を造ってしまい、あるべき自然景観を壊している。

遠く離れたガラパゴス諸島も危機的状態にあるという。

ダーウィンの進化論の基本となったこの諸島に生息する固有種の動植物は、自然界のサイクルで長い時間を掛けて形づくられたものだろう。しかし、世界遺産認定後に脚光を浴びるようになり、観光客が押し寄せた。現在では、動植物の生態系に異常が見られるようになった。

自然のシステムが壊れてしまったのだ。

観光客のための施設、観光客の食物残渣など島にこれまで無かったもので汚染したのだろう。投棄されたゴミの山にこの島にしかいない鳥が群がり、その鳥の姿かたちにまで異変が起きていることだ。内臓も冒され、奇形の雛が産まれている…自然の摂理もあったものではない。

岩木山とガラパゴスは、地球の裏表なのに同じ「被害者」だ。人間が犯す罪は底知れなく愚かだ。 地球規模で自然と意識的に向き合おうとする人が、一人でも多くなることを心から願う。

2008 04/01 カテゴリー : 岩木山コラム

激しい雪も止み、獣の足跡も多くなってきた岩木山麓。

もう、そろそろ冬も終わりかなと思うとまた降り出す。
でも、空気は春の匂いがしている。

雪解けの時期、冬中、除雪で体が疲れきっているのにもかかわらず、汚れた雪を見ると真っ白でパウダー状の雪が懐かしく思える。春が近い喜びよりも静かな冬への未練なのか。

冬の間、農家は春に作付けする野菜の種を購入し準備する。
一年間の傷ついた身体も温泉療法や整体に通って春に備える。

岩木山麓には、誰よりも春の花が咲くのを待っている集団が居る。
東岩木山を基地とする「岩木山養蜂」の従業員のミツバチたちだ。
このハチ達が集める蜜は最高の品質と全国レベルで評判になっている。
大自然、岩木山麓の混ぜ物の無いピュアな蜂蜜だ。

冬の間、寒冷地のハチは冬眠のようにじっと動かない状態で居る。これは、無駄なエネルギーを使わず、花のシーズンに備えているのだろう。農家も、ミ
ツバチもスポーツアスリートと同じように、コンデションを整える様子はプロ魂といえる。ミツバチ達は4月に入って岩木山麓を離れ、足慣らしではなく羽慣ら
しとでも言うのか、飛行準備のために少し暖かめの土地で合宿するそうだ。

さくら、りんごの花が咲く頃、最高の働きをするミツバチの雄姿が目に浮かぶようだ。

 

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