岩木山コラム (記事:岩木山中腹の幻想的なブナの森を探索)

08/01

岩木山中腹の幻想的なブナの森を探索

2010 08/01 カテゴリー : 岩木山コラム

6月末、岩木山の登山道には其処かしこに残雪が有る時期に、岩木山観光協会・登山部20名は、新ルート開発のために『巨木の森』に入山した。

巨木の森は6~7年前までは、毎年コンサートが開催されていた。岩木スカイラインで言うNo.27のカーブに位置し、森に入るとわずか数分でブナの木が広く伐採されたエリアに着く。切り株に腰掛け、森林浴をしながら音楽を聞くという贅沢なコンサートだ。今年は市民団体が企画をして、再開する予定があるという。

森閑としたブナの森

森閑としたブナの森

10時に近い時間にもかかわらず、ブナの森は森閑とした空気に包まれ、4~5m先から森の奥深くまで乳白色の霧が覆う。新緑のブナの枝葉から見る青空と、緑色の陽の光は体が洗われるような清々しさを感じるが、霧が立ち込めるブナの森は幻想的だ。

隊長は、「山の家ぶなこ」の経営者・秋田氏。市の依頼で、津軽一帯の映像を撮り続けているITBの面々。岩木山のことは、必ず記事にしてくれる東奥日報と陸奥新報の記者2人。その他、広報ひろさきで募集した参加者と登山部の部員達。

この日初めてこの森に入った参加者達は、ただただ感激をして無口になった。今回の目的は、新ルートの確立だ。画像データも無いので、全員がカメラを持って参加した。だが、魅力的な霧深い森を、見たままに写真に収める事は難しい。デジタルカメラは、すぐに画像チェックが出来るからこそ、見た目通りに撮れていない時は落胆する。これを見て、秋田氏がガイド役だけでなく、写真家として快くテクニックを詳しく教えてくれた。

巨木の森の入り口から、ジグザグに獣道のような道を1kmほど森の中に入る。黒森山の一番近い場所だ。ここまで入ると、「ブナの奇木」が多くなる。巨木とはいえないが、雪で押されて枝が変形し、幹もずんぐりしている。まるで彫塑を展示している美術館を歩いているようで楽しい。シャッター音だけが、いろいろな角度から聞こえてくる。

岩を喰うブナ

岩を喰うブナ

突然、竹薮の中からチャリ~ン、チャリ~ンと森に響き渡る鈴の音が聞こえてきた。歩きを止めて鈴の音の方を見ていると、背に大きなリュックザックを背負い、頭からフードを深々とかぶり、顔を網の覆面をした山菜取りのプロが現れた。この姿は、完全装備というのだろうが、あまりの仰々しさに可笑しくなった。秋田氏の傍まで来て、ぼそぼそと話をしている。我々が山菜を採りに来たのではない事に安心したらしく、全員に会釈をした。筆者の「この辺は熊が出るんですか?」という愚問に、「うん」と答えただけで立ち去った。我々がその後、熊の話で盛り上がったのは言うまでもない。

森の中で各自が持ってきた昼食をとった。霧は出て欲しかったが、雨は降らないようにと願っていただけに昼食休憩を森の中で出来たことが嬉しかった。

参加者全員の反応は良かったが、一般の登山客がガイド無しで散策するには少し不安が残るコースだった。道に迷ってしまうのは、土地勘があるなしではなく注意力の問題だというが、登山の基本どおりに考えれば弱者優先だ。一本の樹木を見て方角が分かる人、木についている目印が何の為なものかが理解できる人など数少ない。岩木山の中腹にこんなすばらしい場所があることを、無防備に一般に広報してしまうことは危険だ。道案内の標識や、自然の景観を壊さない程度の道の整備が必要なのだ。

ブナの森を抜けて、嶽温泉郷に下りる正規の登山道に入った。湯ノ沢地点に下りると、ブナの木もスマートでまっすぐなプロポーションになった。しばらくするとブナが終わり、ナラの世界になっていた。景観の変わったことを楽しんでいる間もなく、雷が鳴り強い雨が降り出した。汗をかいていたので雨に濡て心地よかったが、終点近くで良かった。

岩木山には、今回探索したブナの森以外にも魅力的な場所がたくさんあると聞く。だが、自然を壊さずコース作りをし、登山客の安全を確保するということは大きな矛盾が伴うことでもある。ブナの森を新コースとして一般公開するのは、まだまだ先になる。 

 

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